無料翻訳は危険!? セキュリティリスクを最小化する対策方法

無料翻訳は危険!? セキュリティリスクを最小化する対策方法

近年利用が増えている無料翻訳ツールは、高い利便性を有する一方で、セキュリティリスクも存在します。

本記事では、主要な翻訳ツールセのキュリティについて詳しく解説し、業務上の機密情報が含まれる文書を安全に翻訳するための対策方法を紹介します。情報漏洩リスクを最小限に抑える方法を知りたい方は、ぜひお読みください。

自動で情報を収集!? 翻訳ツールのセキュリティリスク

利便性が高い一方、リスクも大きい無料翻訳ツール

無料翻訳ツールは、コストがかからず、必要に応じて手軽に一定レベルでの翻訳を行えるため、非常に便利です。これらのツールは、複数言語に対応していることが多く、個人利用からビジネスシーンまで幅広く活用されています。

しかし、これらの無料翻訳ツールの利用には大きなリスクも伴います。多くの無料翻訳ツールでは、利用前に提供元と使用者との間で秘密保持契約などが結ばれることはほぼありません。むしろ、多くのツールではサービス向上や研究開発を目的に、入力された情報を取得することが規約で明記されています。

このため、入力内容が提供元によって収集され、予期せず第三者に漏洩するリスクがあることを考慮しなければなりません。情報漏洩の発生は、企業にとって信用や信頼を失ったり、高額な損害賠償の請求が発生したりする原因となります。

過去には、無料翻訳ツールによる情報漏洩事例も

2015年、ある無料翻訳サービスで大規模な情報漏洩が発生しました。この事件は、ユーザーが翻訳のため入力したテキストがサーバー上で保存され、誰でも見られる状況になっていた、というものでした。漏洩したデータは、メールの内容を翻訳したもので、そこには個人を特定できる情報が含まれていました。このことが無料翻訳ツールのセキュリティリスクを多くのユーザーに再認識させる結果となりました。

この一件を受けIPA(独立行政法人情報処理推進機構)がクラウドサービスの利用について注意喚起を行っています。

参照元:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
【注意喚起】クラウドサービスに入力した内容の意図しない情報漏えいに注意
※元ページリンク切れのため「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)サイト」より参照

AI翻訳ツールの「湧き出し」現象にも要注意

無料のAI翻訳ツールを利用する際には、ユーザーが入力した情報が機械学習(トレーニング)に使用される規約が含まれていることが一般的です。この規約により、ユーザーが入力したデータがサービス提供者によって収集され、機械学習のために利用されることになります。

こうした収集データが、他者が翻訳したときの結果に脈絡なく現れることを「湧き出し」現象と呼びます。この現象により、企業が大量の翻訳データを提供すると、それが他のユーザーに閲覧されてしまいかねません。結果として、企業の機密情報が漏洩するリスクが高まります。

【主要4サービス】翻訳ツールのデータ収集規約と安全性

翻訳ツールとしてよく使われているのは、「Google翻訳」「DeepL翻訳」「Microsoft翻訳」「ChatGPT」です。これらのツールは利便性が高い反面、無料版の利用においてはセキュリティリスクもあります。

いずれのツールも無料版では、サービス向上やAIのトレーニングを目的に、ユーザーの入力情報が自動でサーバーに収集される仕組みとなっています。このため、安全性が高いとは言い難い部分もあるのが実情です。

一方で、有料版では情報が収集されない規約が設けられている場合が多く、情報セキュリティ対策もより強固なものとなっています。 以下では、上述した主要4翻訳サービスの規約と安全性について具体的に確認します。

Google翻訳

Googleが提供している翻訳サービスです。多言語対応で、ユーザーにとって非常に利便性が高いツールですが、データ収集の観点からは注意が必要です。

Googleのプライバシーポリシーには、Google が「よりよいサービス提供のために情報を収集すること」「ユーザーが Google のサービスを利用した際に作成、アップロード、他のユーザーから渡されたコンテンツも収集すること」が明記されています。 これはGoogle翻訳も例外ではありません。無料版を利用する際には、入力したテキストがGoogleのサーバーに保存され、サービスの改善や維持向上、パフォーマンスの測定などを目的として使用されることがあります。

他方で、Google翻訳の有料版とも見なせるGoogle Cloud内の「Translation AI」では、入力した内容がAI翻訳の学習に使用されることはない旨が明記されています。

このため、有料版を利用することで、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

参照元:
Google プライバシーポリシー
Google Cloud テキストの翻訳(Advanced)

DeepL翻訳

DeepL翻訳は、高精度な翻訳を提供する人工知能(AI)ベースの翻訳サービスです。無料版と有料版があり、それぞれ異なるデータ収集規約が設定されています。

  • 無料版の規約:当社は、ニューラルネットワークとアルゴリズムのトレーニングと改善のために、お客様がアップロードしたコンテンツ(テキストや文書など)とその翻訳/改善を一定期間処理する権利を留保します。
  • 有料版の規約:DeepL は、サービスを提供するため技術的に必要な範囲でのみ、コンテンツまたは処理済みコンテンツをサーバー上に一時的に保存します。

※いずれも弊社抄訳

無料版では、サーバー側で情報収集が行われるため、個人情報の類を含むテキストの利用が禁止されています。他方、有料版では、より高度なセキュリティ対策が施されており、個人情報の保護が強化されています。また、有料版では無制限の翻訳が可能となり、より多くのテキストを安全に翻訳可能です。このため、重要な情報を翻訳する場合は、有料版を活用することが推奨されます。

参照元:
DeepL Free Services – Terms of Use
DeepL Pro – Terms and Conditions

Microsoft翻訳

Microsoft翻訳は、マイクロソフトが提供する高精度な翻訳ツールです。無料で利用できるものとして、以下の4種類があります。

  • 検索サービス「Bing」で利用できるテキスト翻訳「Microsoft Translator」
  • Webブラウザで利用できる「Microsoft翻訳」
  • スマホアプリの「Microsoft翻訳(Microsoft Translator apps)」
  • Webブラウザ「Microsoft Edge」の翻訳機能

また、主な有料サービスには以下が挙げられます。

  • 「Microsoft Office」(製品版)による翻訳機能
  • クラウドサービスMicrosoft Azureで利用できる「Azure AI Services」の翻訳API

無料版のMicrosoft翻訳サービスでは、サービスの改善やAIトレーニングを目的にユーザーが入力したテキストや音声が記録されることが規約に明記されています。これにより、ユーザーが提供したデータがAIトレーニングに利用されることになります。一方、有料版のMicrosoft翻訳サービスでは、データ収集は行われず、ユーザーのプライバシーがより保護されています。

参照元:
Microsoft Confidentiality(機密性)
Microsoft サービス規約
Microsoft プライバシー ステートメント

ChatGPT

ChatGPTは、近年注目を集める生成AIの代表的なサービスのひとつであり、多言語の翻訳が可能なツールです。高い精度で自然な言語生成ができるため、多くのユーザーに利用されていますが、データ収集の観点からはやはり注意する必要があります。

ChatGPTの個人利用では、ユーザーが入力した情報が自動的に収集され、サービスの改善や言語モデルの開発に利用されることが規約に明記されています。このため、プライバシー保護の観点からは要注意です。

一方、事業者向けサービスの利用では、別途顧客契約に基づくこととされています。つまり、企業利用においては情報の取得を定めた規約が適用されないため、情報の取り扱いがより厳密に管理されていると捉えられます。

ただし、ChatGPTを含む生成AIを活用した翻訳には注意が必要です。古い情報を基に誤った解答が生成されるリスクがあるほか、著作権違反のコンテンツが生成される可能性もあります。業務で利用する際には、その点にも十分な注意を払わなければなりません。

参照元:OpenAI プライバシーポリシー

翻訳ツールからの情報漏洩を防ぐためにできる3つの対策

業務上、機密性の高い情報を翻訳する必要がある場合、次項で解説する3つのセキュリティ対策を徹底することによって、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

1. 信頼できる環境以外で情報を入力しない

まず、一般公開されている無料の翻訳ツールを業務に利用することを控え、信頼できる環境でのみ内部情報を入力するルールを策定します。 信頼できる環境とは、会社の内部ネットワークやセキュリティが確保された専用のVPN環境などを指します。

これに対して、公共のWi-Fiや共有パソコンではセキュリティリスクが高く、機密情報や重要なデータが漏洩する可能性があります。そのため、不特定多数がアクセス可能な環境で機密情報を入力することは避けましょう。

「重要な情報のみを抜き出したうえで無料翻訳ツールを活用している」というケースも見受けられます。しかし作業効率の面から、そうした方法を日常的な業務で実施するのは現実的ではありません。まずは信頼できる環境での作業を徹底することでセキュリティリスクの低減を目指しましょう。

2. プライバシーポリシーに目を通す

翻訳ツールを利用する際には、無料・有料を問わず、必ず利用規約やプライバシーポリシーに目を通して、情報の取り扱いがどのように行われているかを確認することが重要です。 同じ提供元のサービスでも、契約内容や利用形態によってデータの取り扱いが異なる場合があります。

例えば、企業向けの翻訳サービスでは企業の要望に応じたカスタマイズが行われ、より厳密なデータ管理が行われるといったケースです。そのため、個別に利用規約やプライバシーポリシーを確認し、自社のニーズに合致したサービスを選びましょう。

3. セキュアな有料ツールを活用する

情報漏洩を防ぐためには、セキュアな有料ツールを活用することが重要です。通常、有料の翻訳ツールは、データの収集や機械学習への利用(データの二次利用)を行わない旨が利用規約に明記されているだけでなく、複数の情報セキュリティ対策が施されています。

例えば、データの暗号化です。暗号化されたデータは、第三者が不正にアクセスした場合でも内容を解読されるリスクが低くなります。また、国際的なセキュリティ基準への準拠も挙げられます。ISO/IEC 27001やSOC 2などの認証を取得しているサービスは、セキュリティ管理が厳格であることが保証されます。

また、翻訳機会が多い場合には、オンプレミス(社内設置型)の買い切り型ツールの導入を検討することも有効です。オンプレミス型は社内のセキュリティ環境下で運用できるため、クラウド上でのデータ漏洩リスクが軽減されます。また、クラウド型と比較してセキュリティ面だけでなくコスト面にも強みがあります。

高セキュリティな企業向け翻訳ツールを選ぶポイント

機密性の高い情報も安心して翻訳できる、高セキュリティな企業向け翻訳ツールを選ぶポイントについて解説します。特に、生成AIを活用した翻訳サービスは近年、多くの企業が提供しているため、選定には慎重な見極めが求められます。

提供元は信頼できるか

高セキュリティな企業向け翻訳ツールを選ぶ際には、まずその提供元企業が信頼できるかどうかのチェックが重要です。以下のチェックポイントに基づいて、提供元企業の信頼性を確認しましょう。

  1. プライバシーマークやISO/IEC 27001などを取得しているか
  2. データの取り扱い(トレーニング等のために収集しない旨)について規約・プライバシーポリシーに明記されているか
  3. データの暗号化やオンプレミス環境でのサービス提供など、情報セキュリティを重視した対策が採られているか
  4. 細かい権限設定が可能か

細かい権限設定が可能かどうかも重要なポイントです。企業内で、翻訳ツールへのアクセス権を業務で必要な社員に限定したり、文書の機密レベルに応じて権限を設定したりすることで、セキュリティを強化できます。

また、IPアドレス制限やシングルサインオン(SSO)の設定を併用することで、さらにセキュアな環境を構築できます。 ツールで設定ができない場合でも、外部ツールとの連携が可能な場合があるため、併せて確認しましょう。

機能性・作業性は十分か

機能性や作業性が十分な翻訳ツールを選ぶことで、企業内の翻訳作業がスムーズに進み、生産性が向上するだけでなく、セキュリティ面にも貢献します。

例えば、使いやすいインターフェースや標準化されたプロセスにより、作業ミスが減少し、誤操作や機密情報漏洩のリスクを抑えることができます。 また、作業の効率化により情報管理が統一され、セキュリティ対策が強化されます。 このように、機能性や作業性を重視したツール選定は、最終的にセキュリティ向上にも繋がります。

自社だけのセキュアな環境が構築できるAI翻訳サービス「WEB-Transer@Enterprise(AI)」

企業における秘匿性の高い情報の翻訳に適するツールとして、国内トップクラスの高精度翻訳エンジンを搭載した「WEB-Transer@Enterprise(AI)」があります。進化した高精度の機械翻訳エンジンによって、英語・中国語・韓国語・欧州5か国語、ロシア語、タイ語などのテキスト翻訳が可能なツールです。

オンプレミスで安全な環境を構築

「WEB-Transer@Enterprise(AI)」は、企業が自社内で安全な環境を構築するのに役立つ優れたAI翻訳サービスです。オンプレミス環境での運用が可能で、データがクラウドに保存されることはありません。外部からの不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

シングルサインオン(SSO)にも対応しており、ユーザーの利便性を向上させると同時に、セキュリティを強化します。さらに、提供企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)ISO 27001の認証を取得していることも大きな特長です。

「WEB-Transer@Enterprise(AI)」では、これまでセキュリティ事故の発生件数は0件です。この実績は、高いセキュリティ基準を満たし、継続的にセキュリティ対策を強化していることを示しています。

自社の業務に最適化されたAI翻訳が実現

「WEB-Transer@Enterprise(AI)」は、企業のニーズに応じた高精度の翻訳を提供するために、オリジナルのAI翻訳エンジンを構築しています。カスタム学習やユーザー辞書機能で、組織専用の最適化された翻訳ツールになり得ます。これらによって効率的かつ正確な翻訳が可能となり、業務の生産性の向上が期待できます。

WordやExcelの文章もワンクリックで翻訳

Officeアドイン機能を活用すれば、WordやExcel、さらにはPowerPointのファイルもワンクリックで翻訳可能です。この機能は、日常業務で使用される文書の翻訳を大幅に効率化し、手間を省きます。

“無制限ライセンス”で高精度の翻訳機能が使い放題

無制限ライセンスにより、高精度の翻訳機能を無制限に利用できる点も大きな特長です。利用者数や翻訳数に制限がなく、追加費用が発生する心配もありません。企業の翻訳ニーズに柔軟に対応し、効率的に業務を進められます。

また、アクセス権限の付与や使用状況・操作履歴の確認など、ユーザー管理機能も充実しています。どのユーザーがどの機能を使ったのかを把握でき、利用状況を管理しやすくなっています。

まとめ

無料翻訳ツールは便利ですが、情報漏洩のリスクが伴います。これらのリスクを最小化するためには、信頼できる環境での使用、プライバシーポリシーの確認、セキュアな有料ツールの活用が不可欠です。特に企業向けには、提供元の信頼性や細かい権限設定、機能性を重視した高セキュリティな翻訳ツールの選択が重要です。

WEB-Transer@Enterprise(AI)」のようなツールは、オンプレミスでの運用や無制限ライセンスによる高精度な翻訳を提供し、企業の情報セキュリティを強力にサポートします。

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