失敗しない翻訳ツールの選び方!押さえたい10項目&おすすめ製品

海外取引や専門的な文章の翻訳において重要なのは、適切なツールを選ぶことです。大規模な翻訳ツールを必要とするケースもあれば、そこまでの規模は求めていないものの、一定の精度を確保したい場合もあるでしょう。

本記事では、2種類の翻訳ツールを比較し、それぞれの利点や用途に応じた選び方を解説します。翻訳ツールの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

機械翻訳・自動翻訳ツールを導入する2つの方法

企業が翻訳ツール(機械翻訳)を導入する方法には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、使用目的や利用環境に応じて最適な選択が異なります。

翻訳ツールを自社で所有する「オンプレミス型」

オンプレミス型とは、自社で翻訳ツールを所有、運用、管理する方式です。この方式には、サーバー型とパッケージソフト型の2種類があります。サーバー型は、自社でサーバーを設置し、複数の利用者が共有して使用する形式です。一方で、パッケージソフト型は、特定のPCにライセンスを取得したソフトウェアをインストールして個別に利用する形式です。

オンプレミスという用語は、英語の「On the premises」から来ており、自社内でハードウェアやソフトウェアを構築・運用することを意味します。従来は単に「自社運用」と呼ばれていましたが、クラウド型の登場により、対比される形で「オンプレミス型」と呼ばれるようになりました。

インターネットを通じて翻訳ツールを利用する「クラウド型」

クラウド型とは、インターネットを介して利用する方法であり、ハードウェアやシステムはサービス提供者が設置・運用します。この方法はオンプレミス型と異なり、企業が自前でハードウェアや設備を持つ必要がない仕組みです。

クラウドという名称は英語の「Cloud(雲)」に由来し、一説にはソフトウェアの動作がインターネット上の目に見えない場所(雲の上)で行われているからとも言われています。一般的には、サービス提供事業者のサーバーやネットワークを活用してシステムを構築・運用する方式です。

自社で使うならどっち?オンプレミス型&クラウド型のメリット・デメリット

オンプレミス型とクラウド型の翻訳ツールには、それぞれメリットとデメリットがあります。一方が絶対的に優れているわけではないため、自社に必要な機能や利用環境を踏まえて選択することが重要です。

セキュリティが強固でビジネス利用も安心のオンプレミス型

オンプレミス型のメリットは、自社で管理・運用できるため自由度が高く、主にオフライン環境で使用することでセキュリティ面でのリスクが低い点です。 デメリットは、特に大規模なシステムを構築する場合、初期費用が高額になる点です。

また、翻訳ツールをPCにインストールする場合、そのPCでしか利用できず、利用範囲が限定される点も難点です。ただし、翻訳ツールをインストールする方法では、インターネット接続がなくても翻訳を行うことができるため、安定した利用が可能というメリットもあります。

翻訳ツールを気軽に導入できるクラウド型

クラウド型のメリットは、インターネット環境があればどこからでも利用でき、初期コストを抑えて導入しやすい点です。 デメリットは、利用期間が長くなるとトータルで高コストになる可能性がある点と、ツールによってはセキュリティ面で不安が残る点です。そのため、ビジネス利用には慎重な選定と十分なセキュリティ対策が不可欠です。

要注意!無料の翻訳ツールに潜むセキュリティリスク

無料で提供される翻訳ツールとしては、Google翻訳やDeepLなどがあります。いずれも手軽で便利なツールですが、ビジネス利用には注意が必要です。その理由は、セキュリティリスクが高いためです。

市販のクラウド型翻訳ツールでは、契約時にNDA(秘密保持契約)を締結し、データの共有や転用を防止します。また、オンプレミス型は原則としてローカルな社内ネットワーク内でアクセスされるため、情報漏洩リスクが低くなります。 一方、無料の翻訳ツールでは、データの扱いやセキュリティ面でのリスクが高く、特に機密情報を扱うビジネス利用には適していません。

【参考記事】無料翻訳は危険!? セキュリティリスクを最小化する対策方法

ビジネス向け翻訳ツールを選ぶ“10のチェックポイント”

ビジネスで翻訳ツールを導入する際は、オンプレミス型・クラウド型を問わず、いくつかの重要なポイントを押さえることが成功の鍵です。自社のニーズに最適なツールを選ぶために、確認すべき項目をチェックしてみましょう。

1. 対応言語

まずは対応言語をチェックしましょう。ビジネスで使用する言語に対応し、かつその言語を正確に翻訳できるかが重要です。特に、業務上で特定の言語を使用する場合、その言語に対応しているかどうかを確認する必要があります。多数の言語に対応している翻訳ツールもありますが、対応言語数の多さよりも、自社の業務に必要な言語に対応しているかを基準に選んでください。

2. 翻訳精度

翻訳エンジンによって翻訳精度に差が出るため、正確かつ流暢な翻訳が可能かどうかを重視しましょう。翻訳精度を測る指標としては、BLEU、NIST、RIBES、WERなどがあります。それぞれ評価対象や範囲が異なるため、参考となる情報を確認することをおすすめします。

また、自社に合ったカスタマイズが可能かも重要です。社内独自の用語や業界特有の専門用語を登録できるユーザー辞書機能があれば、翻訳精度の向上が期待できます。

3. 専門用語対応

翻訳精度を高めるためには、ビジネスで使用する専門用語への対応が重要です。例えば、業務が科学や医学に関連している場合、その分野に特化した専門辞書が豊富に搭載されているかを確認しましょう。

また、契約書や特許文書など、よく作成する文書がある場合には、それらに対応した解析・処理機能が備わっているかを確認する必要があります。こうした機能が充実した翻訳ツールを選べば、翻訳精度の向上に大いに役立ちます。

4. アクセス方式

自社のシステムやインターネット回線に問題が生じた場合に備え、翻訳ツールへのアクセス方式も確認しておきましょう。業務を継続できるかどうかがポイントです。

クラウド型の翻訳ツールを利用する際は、オフラインでもアクセス可能か(インターネット接続がなくても翻訳機能が利用できるか)を確認することが重要です。PCにインストールする買い切り型のタイプは、PCさえあれば翻訳機能を利用できるため、業務継続性が高まります。

5. 操作性

業務効率に直結する要素として、操作性が挙げられます。ユーザーインターフェースが直感的でわかりやすいか、業務効率化につながる機能が豊富で、その操作性が良好かをチェックしましょう。具体的な機能も確認し、使いやすい翻訳ツールを選ぶことが、効率的な翻訳業務に役立ちます。

6. ライセンス数・利用上限

一般的な翻訳ツールには、同時使用できるユーザー数(ライセンス数)に制限があるため、実際の従業員数に見合ったライセンス数かを確認すべきです。ライセンスの追加購入が可能なツールを選べば、業務規模に応じて柔軟に利用範囲を拡大できます。

また、クラウド型では、翻訳回数や文字数に上限が設けられている場合があるため、事前に確認が必要です。買い切り型の翻訳ツールは、一般的に文字数や回数に上限は設けられませんが、初期費用が高額になることが多い点に留意しましょう。

7. セキュリティ

法人向け翻訳ツール選びでは、セキュリティ対策の確認も欠かせません。無料の翻訳サイトや翻訳ツールでは、翻訳対象の文書が暗号化されずにインターネットを通じてやり取りされることや、二次利用が行われることで内容が流出するリスクがあります。

クラウド型の翻訳ツールではインターネットを介して翻訳データを送受信するため、セキュリティ対策はより慎重に確認する必要があります。特に契約書や製品開発情報など、機密性の高いデータを取り扱う場合は、しっかりとしたセキュリティ対策を講じているものを選ぶことが重要です。

8. 対応OS・デバイス

WindowsやMac、PCやスマートフォンなど、翻訳ツールの対応OSやデバイスは、利用環境や状況に応じて選びましょう。外出先でスマホから翻訳機能を使う必要がある場合は、クラウド型が適しています。一方、外出先での利用がない場合は、自社PCのOSに対応したオンプレミス型や買い切り型の翻訳ツールで十分です。

9. 価格

翻訳ツールの主な料金形態は、クラウド型であればユーザー数に応じた月額定額制や翻訳文字数に応じた従量課金制、オンプレミス型であれば買い切り型や保守費用のみの定額制があります。 長期的に継続的な翻訳業務がある場合は、買い切り型のものを最初に購入することで、トータルコストを抑えられるかもしれません。

10. サポート体制

ツール導入後のサポート体制やアップデート対応は、見落としがちな重要なポイントです。買い切り型の場合、購入者向けの問い合わせ窓口が用意されていれば、購入後も安心して利用できます。また、購入後に翻訳エンジンなどのバージョンアップが可能な製品は、長期間の使用に適しています。

対応OSやサポート情報、過去のアップデート履歴は企業の公式サイトなどに掲載されていることがあり、導入前に確認すればサポート品質を見極める手がかりになります。

ビジネスに使うなら?翻訳ツールにあると便利な5つの機能

ビジネス用途としては、次のような機能が翻訳ツールに備わっていれば、業務効率化や翻訳精度の向上に役立ちます。

1. ビジネス文書の解析機能

契約書や特許文書など、ビジネスで多く作成する文書に特化した解析・文章処理機能が搭載されていれば、翻訳精度をさらに高めることができ、非常に便利です。これらは汎用的な翻訳ツールでは正確な翻訳が難しい分野であるため、文章の分解・再構築や専門辞書などの機能が求められます。こうした機能により、ビジネス関連の翻訳業務でも高品質な翻訳が実現します。

2. Officeソフト等からの翻訳機能

OfficeソフトやPDFファイル、Webサイトの翻訳を行える機能は、業務効率化に役立ちます。中でも、PDFのファイル翻訳は、海外の取引先向け資料や、外国人が出席する会議の資料作成業務などをスムーズに進めることができます。翻訳の際、元の文書のレイアウトを保持できると、照合作業がさらに便利になります。

3. 画像翻訳・文字認識機能

画像翻訳・文字認識機能は、画像化されたPDFや画像ファイルに含まれる文字も翻訳できる機能です。例えば、紙の文書をスキャンしたデータなども翻訳可能です。この機能はOCR技術を使用し、指定範囲内の文字を自動で認識して翻訳結果を表示します。ホームページのバナーや動的に生成されたコンテンツ、画像化されたPDFの翻訳など、さまざまな用途に対応しています。

4. 逆翻訳機能

逆翻訳機能は、「日→英→日」や「英→日→英」などのバックトランスレーションをスムーズに行い、効率的で正確な文章作成に役立ちます。

逆翻訳とは、一度翻訳した文章を元の言語に再翻訳する作業で、医学や心理学などの分野でよく行われる手法です。このプロセスにより、翻訳の正確性を確認し、文脈の誤解を防ぐことができます。逆翻訳機能を活用すれば、質の高い翻訳を迅速に提供することが可能です。

5. 翻訳メモリ機能

翻訳メモリ機能とは、原文と訳文を対にして登録できるデータベースのことです。特に専門用語や業界特有の文法が多いビジネス用途では、過去の翻訳結果が資産となり、翻訳精度を向上させることができます。翻訳メモリを活用すれば、効率的な翻訳作業が可能となり、過去の翻訳と一貫性のある高品質な訳文を得ることができます。

ビジネス利用におすすめの翻訳ツール、「Transer」&「翻訳ピカイチ」シリーズ

専門用語や契約書などの特定文書に対応し、Officeソフトとの連携、画像翻訳、翻訳メモリといった機能も備えている翻訳ツールとして、「Transer」が挙げられます。導入が簡単で、ビジネス利用にも非常に便利です。その他にも、同様の機能(翻訳メモリを除く)を備えた「翻訳ピカイチ」もおすすめです。以下でその特徴をご紹介します。

各分野に特化した、9つのパッケージを展開

「Transer」&「翻訳ピカイチ」シリーズには、以下の9つのパッケージがあります。それぞれのパッケージは、特定の分野や用途に合わせた正確な翻訳を提供します。

業務規模に応じてライセンスの追加が可能

「Transer」&「翻訳ピカイチ」シリーズは、買い切り型でありながら、業務規模に応じてライセンスを追加できる仕組みを採用しています。法人向けの1ライセンスは、1台のPCにインストールして1ユーザーが利用できる権利を指します。また、一度に5本以上購入する場合はライセンスの単価が下がるため、大人数で使用するほどコストパフォーマンスが高まります。

バージョンアップなど、購入後のサポートも充実

「Transer」&「翻訳ピカイチ」シリーズは、PCに直接インストールする買い切り型ですが、購入後も所定の手続きを踏むことでバージョンアップが可能です。ユーザー登録を済ませることで、バージョンアップや新サービスのリリース案内が届くようになり、充実したサポートを受けることができます。購入後も安心して利用できる点が魅力です。

まとめ

翻訳ツールの選定は、使用目的や環境に応じて適切に行うことが重要です。オンプレミス型とクラウド型の特徴を理解し、セキュリティやサポート体制も考慮して選びましょう。ビジネスに最適な翻訳ツールを導入することで、業務効率化と翻訳精度の向上が期待できます。

クロスランゲージでは、買い切り型の翻訳ツールに加え、サーバーから導入するオンプレミス型やクラウド型の翻訳ツールも提供しています。具体的なニーズや使用環境に応じた最適なソリューションについての相談にも対応可能です。翻訳ツールの導入をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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